───、って何考えてるの私っ!
ハッとして、今までこんなこと一度も思わなかったのに、いつの間に音怜くんに対する気持ちが大きくなっていたんだろう、と思う私。
「………え、えと、じゃ、じゃあバイバイ、音怜くん!」
大きく手を振ると、音怜くんも暗がりの中、笑顔で手を小さくひらひらしてくれた。
私が玄関前の白い柵に手をかけると───。
「あ、そうだ、つぼみちゃん、よかったら明日、また練習試合見に来てくれない? もうすぐ大会が近いから、しばらく朝練と放課後、バスケ部の活動で忙しくなる
んだよ」
「そうなんだ。もちろん、応援しに行くよ! 早起きできるかはちょっと不安だけど………、でも、またかっこいい音怜くんの姿、見たいし楽しみにしてるね!」
私はにこっと普通に笑ったつもりなんだけど、音怜くんは「その顔、反則」と
言って、頬を赤らめていた。
音怜くんが帰って行く姿を、見届ける。
それから私は、玄関の取っ手を掴んで扉を開けようとしたときだった。