「だけど、今日見たジャイアントパンダよりは俺たち負けてたね。あんなに
俺とつぼみちゃん、じゃれついたことないでしょ?」
「じゃ、じゃれついたことないって……、私は恥ずかしいよ、そういうのは!」
すると、クスクスして音怜くんは口元に手を添える。
「つぼみちゃん、案外エロいこと想像してる?」
「し、してないよっ………!」
私はそう言いながらも、実は図星だったのを必死で隠す。
「あっ、 雨あがったみたいだよつぼみちゃん」
「えっ? あっ、本当だ」
お店のガラス張りから見える空は、オレンジとピンクが混ざりあったキレイな
色になっていた。
私は思わず、店の外に出てスマホで写真を撮る。
「そーいえばさ、つぼみちゃん、あれから、あの花壇のつぼみ見た?」
「へ………? あ、ごめん。全然見てない………」
「じゃーさ、あとで二人で学校に来た時見に行こーよ、もしかしたら咲いてるかもしれないし」
「あ、うん! 綺麗な花が咲いているといいね!」