じれじれ王子と心の蕾。




「うわーっ! 音怜くん、この馬、小柄で可愛いね! 子供なのかな?」
「いや、これ多分大人だろ。あっちにもっと小さい子馬がいるから」

私たちは、“大人乗馬コーナー”の列に並びながら、柵の中にいる馬たちを眺めて
いた。

私は、ちらりと視線を向けると、子馬に、嬉しそうに乗る子供の姿が見える。
あっちは、たぶん子供向けの乗馬コーナーだ。

馬に乗った我が子を見守る親御さんの姿も大勢いて、写真を撮ったり、楽し気な
声が聞こえてくる。


「な、つぼみちゃんも馬に乗らない?」
「う~ん、でも私、乗るの初めてだし………」
「俺も初めてだよ。せっかくだし、つぼみちゃんもやろうよ」
「そっか! うん、そうする!」

そんな会話を繰り広げていると、順番はあっさりと回ってきて、飼育員さんが声
をかけてきた。

「では、次の方どうぞ~!」
「あっ、はい」


音怜くんが、ちょっと戸惑いながら、飼育員さんの説明を聞いてヘルメットをかぶる。