私は、思い切って口を開いた。

「私ね、音怜くんが見知らぬ女の子と話ししてたから、ちょっと変な気分に
なっちゃった。おかしいよね、学校の女の子とは何とも思わないのにね、
あはは…………」

なんとかこの場の空気を明るくしようとする私。
だったんだけど、音怜くんにはお見通しだったみたいで「笑わなくていい」と、
ポンと私の頭の上に手を置く。

そして、寄り添うように身体を密着させてきた。


「俺、つぼみちゃんだけに、ベタ惚れしてしてるに決まってんじゃん」
「え………!?」

私は思わず、びっくりした声を出す。
すると、音怜くんは口元を吊り上げて笑う。

「あー、なにその反応? 恋は初恋だけじゃないってこと、俺が教えてあげよーか?」

徐々に近づく音怜くんの顔。
私は慌てて、拒否する。

「だだだ、だめだよっ! ここ、動物園だよっ! 他の人に見られちゃうっ…!」
「今、お昼の時間帯だし、ここには俺たちしかいないよ」