「今日くらいかっこつけさせてよ、せっかくの初デートなんだしさ」

にこっと、爽やかに笑う音怜くん。
私はその彼の表情に負けてしまい、ドキドキしながらこくりと頷いてしまった。


それからちょっと時間が経ってから。

「はい、つぼみちゃん」
「あ、ありがとう」

音怜くんからパンダの写真付きのチケットを受け取って、私たちはゲートの入り口の中へと進んで行った。


最初に私の目に映ったのは、双子のジャイアントパンダ。

「わ~! テレビのニュースで見たのと違ってけっこう大きい~!」
「つぼみちゃん、このパンダ知ってるの?」

「知ってるもなにも、ここの動物園じゃ有名だよっ!? 音怜くんってあんまり
川原動物園のこと知らないの?」

「うん。なんとなくテレビで紹介されてて、人気がありそーな所だなって感じてた程度ぐらい。でも、つぼみちゃんは動物好きそうだから、喜ぶんじゃないかと思ったっていうか、思い出したって感じ?」