土曜日ということもあり、電車のホームは混雑していた。

改札口を通り、音怜くんに手を繋がれたままそこに向かう私たち。


特に多かったのは、子供連れのお母さんや私たちと同じぐらいの年の学生らしき
人たちだった。

「つぼみちゃん、こっち」

音怜くんは、私を誘導してくれて、なるべく人から遠ざかった場所を目指す。
青のプラスチックベンチに音怜くんが座ったので、私もちょこんと隣に腰を
おろした。


「近所の動物園しか行ったことが無いから、あー、楽しみだなぁ!」
「え? つぼみちゃんってけっこうインドア派?」
「う、うん。私、友達少ないし、たまに理々乃ちゃんと一緒に出掛ける程度
くらいかな、音怜くんは?」
「俺も、家でゲームする時間長いから、そっち系」


会話に花を咲かせていると、ガタン、ガタンと電車が来る音が近づいてきた。

黄色の線からちょっと下がった場所に立つ、私と音怜くん。
ほどなくして、電車が止まったので乗り込んだ。


電車に揺られて40分。