「そうだね………! お父さんには悪いけど内緒にしといてね」
「もちろん分かったわ~、ふふっ、私に任せなさい~」

「………そういえば、お母さんはなんの用事?」

お母さんは、口元に手をあてて、ふふふっと漏らす。

「つぼみの今日の様子が、いつもと違がったから、ピーンときちゃったの~」
「………えっ!」

お、お母さんってば穏やかな割には、けっこう鋭い所あるんだよね。


母は「じゃあね~」と言ってから、私の部屋を後にした。

それから、私はワンピにカーディガンを羽織って、淡いピンクのハンドバックの
中身を確認。


それと、おかしな所がないか、姿見で全身をいろんな角度から見る。

うん、大丈夫!

壁掛け時計を見ると、もう家を出る時間になっていた。
私は、部屋をでて、リビングの扉の前をそーっと通り抜けてから、玄関でパンプス
をはく。

───がちゃり。

ドアを開けると、朝の光がまぶしい。
今日は、雲が散り散りになって、青い空に浮かんでいる。