私は、驚く以前に、あたふたする。
見られちゃった! ど、どう言い訳すればっ……!

けど、お母さんはそんな様子の私に、お構いなしで発言する。

「あら~! 可愛い髪型~!」
「ええっと、その……!」


「つぼみ急にどうしたのかしら~?」

ずいっと、私の顔を覗き込むお母さん。
どうせ、行く間際に音怜くんと動物園に行くのを伝えるつもりだったんだから、
構わないか、と思い私は口を開いた。

「あ、あの今日ちょっと出かけるから。その、か、彼氏と動物園に行くの」

それを聞いてお母さんは目をまん丸にしてから、くすっと笑った。


「あら~、そうなの! ふふっ、楽しんで来なさいね!」
「う、うん!」

「あら? でも~、お父さん今リビングにいるのよ~」
「ええっ………! そ、そうなの………!?」

思わず青ざめる私に対して、お母さんは気楽に言う。

「大丈夫よ~、ドアは閉まってるし、お父さんにバレることはないわ~」