「私は、普段通りの音怜くんがいいなぁ。本当の音怜くんは、意地悪で、なに
考えているか、分からなくてヘラヘラしてて………。でも、私にたくさん優しく
してくれて、助けてくれたから。私、凄く感謝してるし、嬉しい。そして
なにより───」

私は、音怜くんをぎゅっと抱きしめた。

「なにより、音怜くんのことが大好きだから」

シンと、静まるリビング。
それを破ったのは、音怜くんだった。

「ちょ、す、“好き”って俺のこと言ってんの? 本気で? マジで?」

音怜くんは、私の突然の告白にあからさまに戸惑っている。
私は身体を離して、彼の顔を見て答えた。

「うん、そう。本気で、音怜くんが好き」
じんわりと頬に熱がたまる。

「………っ、やべー、俺、人生の中で一番うれしーかも」

顔を真っ赤にして、でも、にやけがおさまらない顔の音怜くん。

「じゃあさ、俺たち恋人同士になったんだな」
「そうだね。ふふっ」

「じゃあさ、キス、してもいい?」