「あ~、また負けた~……、音怜くん本当にゲーム得意なんだね」
「まー、一人で家にこもってる時間多いからねー、でもさっきのは、つぼみちゃん
のミスだよ」


私と音怜くんは、リビングのカーペットの上で一緒にテレビゲーム中だ。

あれから、雨がやみそうになかった私は、お母さんに電話をした。

『あ、もしもしお母さん?』
『あら、つぼみ?』
『あのね、帰る途中に雨が降ってきたから、今友達の家に上がらせてもらってる
んだ。天気が落ち着き次第帰るから………』

『わかったわ。でも、もう遅いから早く家に戻ってきなさい! 分かった?』
『う、うん』

そこで、通話は途切れた。
電話する前も、してる時も、ヒヤヒヤして手に変な汗が滲んだ。

なぜかというと、音怜くんと一緒にいることが、お母さんならともかく、お父さん
にまで知れ渡ると、ちょっと面倒だったから。

私のお父さんは普通のサラリーマンだけど、一人娘の私に対しては過保護なのだ。