ちょっと間を置いてから私は口を開いた。
「どうして、私なの? 音怜くんの周りにはキレイな女の子、いっぱいいると思う
けれど?」
音怜くんは、片手で髪の先っぽをいじりながら答える。
「最初は失恋してかわいそーな女、としか思ってなかった。けど、それと同時に
守ってやりたい、助けてやりたいって気持ちが膨らんだ。最初、学校の裏庭で
会ったとき、お前は城守と違って、こんな俺に警戒心を一つも持ってなくて、
普通に接してくれた。それが嬉しかったんだよ」
───ぎゅっ。
突然、音怜くんにハグされる私の顔は、ぼぼぼっと赤くなる。
「ちょっ、ね、音怜くん!!?」
「キスがダメなら、ハグくらいさせてよ。俺、つぼみちゃんが全然足りないから」
彼は私の首に顔を、埋める。
ブラウンのふわふわした髪の毛先が、私の頬に触れた。
「あー、やっぱりつぼみちゃんの匂いってなんだか安心する、なんていうか甘くて、石けんの香り、みたいな?」

