じれじれ王子と心の蕾。




音怜くんも、向かい側のソファに腰をおろしてコップに口をつけた。


「音怜くんって、大きくて素敵な家に住んでるんだね。なんかイメージと違っち
ゃってビックリしたよ」
「それって………、俺がボロいアパートとかの方が似合ってるってことー?」

「いや、そうじゃなくて、いつもすぐに帰らないで、教室のベランダにいるから、
なんか家に帰りたくない理由があるのかなって思っただけ」

私からすれば、何気ないことを口にしたつもりだった。

けど、音怜くんは「あー」と(うな)って、苦い顔をする。

あれ………? 私、変なことでも言ったかな?


「………俺、嫌いなんだよね。この家」

ボソッと音怜くんは何か言ったけれど、私の耳には届かなくて、聞き返す。

「え? 音怜くん、今なんて?」
「なんでもなーい」

飲み終わったコップを音怜くんが片付けると、彼は戻って来て、なぜか私の隣
に座った。

しかも、わざと肩が密着するように。