ドラセナは、引っ越し祝いとかでも人気の植物で、葉が上に伸びるシルエットが
美しい品種だ。
また、別名は「幸福の木」という名前でも親しまれているらしい。
「なに、ぼーっとしてんのー?」
私は、我に返りドラセナから視線を外す。
「うんん! なな、なんでもないよっ!」
音怜くんの家の中にいて、緊張気味の私は思っていることを上手く話せない状態
だった。
「じゃ、じゃあ上がらせてもらうね」
「はい、どーぞ」
白の玄関マットを踏んで、案内された部屋はリビングで、私は二人がけのソファに座らせてもらう。
キョロキョロと辺りを見回すと、なにもかもがキチンと片付けられていて、逆に
落ち着かないなぁ……、と思う私。
一方音怜くんは、台所でなにかやっているみたいだったけど、ほどなくして、マグカップを持って手渡してくれた。
「勝手にあったかいココアにしちゃったけど、いいー?」
「うん! 私、甘いもの好きだから、ありがとうっ!」

