そう言って、さらに音怜くんにグイグイと手を引っ張られる。
「ちょ、ちょっと待って! わ、私一人で帰れるからっ………!」
「こんな大降りの雨の中でー? つぼみちゃんちって、歩きで30分かかるの俺
知ってるから」
「ど、どうしてそれを………!?」
「朝、いつも俺迎えに来てたじゃん、忘れたのー?」
そうでした………、と私は諦めの言葉を心で呟く。
私の学校から、家までの距離はけっこうある。
それに対して、音怜くんちは、走ってわずか2分くらいで今着いた。
音怜くんを恨めしくおもいながらも、私は渋々、彼の家にお邪魔させてもらうこと
にした。
「はい、タオル」
「あ、ありがとう」
タオルを受け取り、私は自分の頭を玄関の中で拭く。
目の前には、ベージュのフローリングの廊下がつづいていて、奥にはリビング
らしき部屋がちらりと見える。
壁は白で、全体的に清潔感のある空間だった。
シューズクローゼットの上には、観賞用植物のドラセナが置いてある。

