「あのメイドは、一週間前に死んだ。
葬儀も終わった。
焼かれて骨だけ残ったとこ、
雨璃もはっきりと見ただろ?」
「……うん」
「オマエが見えてる奴がいるなら、
脳内で都合よく合成された
好きな女の虚像」
「合成でも、虚像でも良いよ。
僕はうるるんに伝えたいことが山ほどあるし。
聞きたいことだって……」
「取り乱したように
俺につかみかかるなって。
服の肩んとこ、伸びるだろうが」
「ごっ……ごめん」
「まぁ、良いんじゃね?」
「……えっ?」
「雨璃の中で気持ちの整理ができるまで、
妄想メイドと
イチャイチャ楽しんでればさ」
「……イチャイチャって」
「昨日までの、地獄をさまよう
ゾンビみたいな雨璃より
好きな女のこと考えて、ウザいくらいに
ヒャーヒャー照れてるオマエの方が、
俺は好きだぜ。
いじめがいがあるからな」
「……僕の羞恥心を、
切れっ切れのナイフで
エグりたいだけでしょ??」
「そうとも言う」
「……ムッ!」
「ほら、
朝飯の前までに、寝癖直しとけ。
今日は引きずってでも、
学校に連行するからな」



