「桜牙、勝手に僕の部屋に
入ってこないでよ!」
「何、顔真っ赤にしてんだ?」
「だって、うるるんが……」
「あのメイドに『アメリ様大好き』って、
キスを迫られた夢でも見たわけ?」
「……夢じゃ……ないし……
うるるん……いるし……」
「はぁ? どこにだよ?」
「僕の……ベッドの……上……」
部屋中を見回す桜牙君は
鋭い目をパチパチさせ
「メイドなんて
どこにもいねぇじゃねぇか」
と、頭を掻いている。
そうなんだ。
幽霊の私、
桜牙君には見えないってことか。
「本当に……
うるるんが、いるんだよ……」
悲し気なアメリ様と、視線が絡み
ひゃひゃっ!
私は恥ずかしくて、目を逸らしちゃった。
桜牙君は魔王様のように
アメリ様の前に、仁王立ちをしている。



