「今、アメリ様のお部屋から
出て行きますから!
あっ、でも、ドアが開けられなくて。
窓を開けていただければ、
すぐにでも窓から飛び降ります」
いくら幽霊になったとはいえ
飛ぶことはできないので。
窓からヒューンと落ちて、
轢かれたカエルみたいに
地面にべちゃりかもしれませんが。
「うるるん……
行か……ないで……」
「えっ?」
「成仏しないで。
迷惑じゃ……ないから……」
迷惑じゃ……ない?
なんのことですか?
ベッドに寝ころんだまま、
布団を頭まで
すっぽりと被ったアメリ様。
1分ぐらい黙り込んだ後
今度は、私の方に寝返りをうった。
恐る恐る、布団から目だけ出す王子の姿。
恥ずかしそうに揺れる瞳で
じっと見つめられてしまったから、
熱のこもった視線に耐え切れない
私の心臓が、
うるさいほど飛び跳ねてしまう。



