とりあえず、落ち着こう。
深く深呼吸して
両頬に、手の平をパンパン。
でも、やっぱり幽霊なんだ。
頬を叩く感触も
ヒリヒリと感じる痛みもない。
成仏する前に、自分の気持ちだけでも
吐き出したいなぁ。
アメリ様に
私の声が届かなくてもいいから……
私は、心の中に溢れる後悔の想いを
言の葉に乗せた。
アメリ様。
「お茶のお誘い
本当は、ものすごく嬉しかったです」
生まれてから今まで
辛く耐え忍んできたのは、
ガーデンでの幸せのためだったと
思えたくらい。
「私が死んじゃう運命とわかっていたら、
メイドだという立場も忘れて、
自分の想いを、伝えていたかもしれません」
アメリ様の手に触れようと
自分の手を出してみた。
けれども
触れた感触すらわからない。
「私なんかが好きって伝えていたら、
ご迷惑以外の
なにものでもなかったですよね?」



