数秒遅れで
コンクリートが壊れるような爆音がして、
僕は、その音を追うように
視線を横に振る。
声が出なくなった。
横断歩道の真ん中に立ちつくたまま
体が動かなくなった。
現実と思えないほど
グロい惨劇を映す僕の瞳が
『嘘だ……嘘だ……』と
涙を押し流してくる。
コンクリートの壁に、車が突っ込んだ。
壁と車の間に挟まれているのは……
どれだけ見ても、間違いない。
大好きすぎて、間違えようがない。
髪が短くて
僕と同じ学校の制服を着ていて。
もう魂が
この世にいないとわかるほど、
ピクリとも動かない
……うるるん。



