ミルフィーユ王子はキュン死しそう




僕がベンチに座った瞬間、

照れ隠しのように飛んできた

桜牙の肘。



夜の暗がりでもわかるほど、

桜牙の頬が真っ赤。



番犬の照れ吠え、

かわいいんだから。




 
「ねぇ桜牙」



「ん?」



「月って、綺麗だよね」



「男同士で見上げるもんでもねぇけどな」



「……そうだね」



「隣に座るのが
 オマエじゃなくて璃奈なら、
 月を見てる場合じゃねぇけど」



「襲ってるってこと?」



「まぁ。確実に、
 唇ぐらいは奪ってるわなぁ」



「相変わらずの、デレだね。
 うらやましい限りだよ」



「だろ?」



「ムッ。失恋を引きずりまくってる
 親友に向かって、
 恋愛自慢はどうなの?」



「そんなに恋したきゃ、
 新しい恋でも探せよ。

 って。

 幽霊でも一緒にいたいって、頑固に
 想い続けてる奴にアドバイスしても、
 無駄なだけか」



「よくわかってるね、僕のこと」



「何年、ダメダメ御曹司の
 世話係をさせられてると思ってんだよ」



「世話係、自分から志願したくせに。

 僕の隣にいてくれるのは、
 璃奈ちゃんとのデート代が
 欲しいだけでしょ?」



「ば~か」



「ん?」



「雨璃としょうもねぇ話をすんの、
 結構気に入ってんだよ。俺は」