お辞儀をした私。
ギルアさんが私の頭を
優しくポンポンした。
幽霊同士なら、
触れるだけじゃなくて
温もりまで感じられるんだぁ。
複雑な気持ちが迫ってくる。
でも私が欲しいのは、
温もりじゃない。
大好きな人が私だけに向ける、
心からの笑顔が欲しいんだ。
「ウル。
恋心というものは、
やっかいなものだと思いませんか?」
「えっ?」
「自分の心に、悲しみの種をまき散らして
涙を栄養分にして、
どんどん嫉妬の葉を広げていく。
手に負えない大木は、
根元から切り落としたくなります」
「ギルアさんも、
嫉妬に苦しんだことが
あおりなのですか?」
「もちろんですよ」
意外だなぁ。
女性が放っておかないような
異世界レベルの美顔の持ちぬしなのに。
「嫉妬の現在進行形と言ったら、
鈍感なお姫様にも
気づいていただけるのでしょうか?」
「まぁ、無理なんでしょうけど」と付け足し、
眉をひそめたギルアさんは
「人を闇に引きずりこむ
私のような死神が、
神に愛されるわけありませんので」と、
苦笑いを浮かべた。



