「あっ僕、さすがに行かなきゃ。
ピアノの先生ね、僕が遅刻すると
次までの課題を山ほど与えてくるから」
「フフフ。
スパルタなんですね」
「僕をピアニストにしたいの?って思う程、
レッスンは厳しいの。
あまりに厳しすぎて、
このスパルタが、僕への愛情だって
思うことにしてるんだ。
じゃあ桃ちゃん、夜に電話するからね」
「はい。
数学のノートを広げて、待ってます」
「あとでね」と優雅な笑みを残し、
小走りに公園を後にしたアメリ様。
そんなアメリ様の背中を見つめ
桃ちゃんが、ボソリと呟いた。
「ほんとに大好き」
って。
恋心で紡がれたような、桃ちゃんの声。
彼女の愛らしい声を聞いて、
私の心に、苦い痛みが広がる。



