「記憶を……消した?」
「はい」
「人の記憶を、
勝手にいじって良いはずがないだろ?」
「私の行動に、
ケチをつけないでいただけますか?
ウルの幸せを考えたら、
記憶を消すことが一番と
この私が判断したんです。
人間のどす黒い心をごまんと見てきた、
この私がね」
イヤミ笑顔全開で、
粘っこい敬語を吐き出すって
相手の怒りを燃え上がらせる、
常套手段だし。
あ~、もう。
僕の兄よりやっかいな、
独裁者タイプなわけ?
「うるるんが記憶を取り戻したってことは、
成仏したくないと、
強く思ったからでしょ?」
僕に会いたいと願ってくれたから
幽霊になっても、僕の前に現れてくれた。
そういうことでしょ?
「それなら、
うるるんの記憶を消した行為は
絶対にしてはいけないもの
だったんじゃないの?」



