好きなのに




日はすっかり沈み翔吾を待つ。










昇降口で待つ私のもとに翔吾が駆け寄る。









「お待たせ」





「ううん、帰ろう....」






薄っぺらい笑顔を浮かべる。





笑う気力なんてもうほとんど残ってない。












いつもの帰り道今日はやけに足取りが重い。














翔吾が口を開いたのは帰り道の丁度中間辺りだった。







「なぁさくら俺たち───」





「翔吾、別れよっか....」







ピタッと足を止めて翔吾の話を遮る。







結局私には翔吾の口から別れ話を聞く勇気がなかった。








別れよう.....そう言われるくらいなら私の口から別れを告げようそう思った。












「....ごめんさくら」







───っ!





「謝らなくていいよ.....ボソッ」





ごめんなんか言われたくない!





出そうになる涙を必死に抑えて





笑顔を浮べた。