ミシェルは呆然として、息を弾ませ何かぶつぶつ呟いていた。 そしてしばらくの間、何をしたらよいのかわからないようだった。 目の前にいる男は彼女が探している人物に似てはいるが、本人ではなかったのだ。

彼女はニーナの手をつかんでおり、逃げ出す準備はできていた。
「その人じゃないわ。 人違いよ。 ジェームズはそんなに年をとってないわ」

「誰が年をとっているって?」
ジョンは血が身体中を駆け巡り、 口から出てきそうになるのを感じた。 彼の怪我は実際、ひどい状態だった。

「人違い?」
今度はニーナが唖然とする番だった。 人違いとは知らずに、なんで殴ってしまったのか?

「ミシェル、冗談やめてよ」

ニーナは眉をひそめ、ミシェルをまっすぐ見つめた。 何が起きているのかちゃんと知る必要がある。

「本当よ! 違う人を殴っちゃったの! ジェームズはビデオで見たことあるもの。 見た目が違うわ!」
ミシェルはこの異様な状況を説明しようとしたが、うまく言葉にすることができなかった。

しかし、この男は弄んでいいような人物ではないのだ。

ミシェルは一体どうするつもりなのか?

ジョンは鼻を鳴らし、 壁に寄りかかってゆっくり身体を持ち上げると、 数秒後ようやく立ち上がった。
「ジェームズは俺の甥だ!」

こいつら、目が悪いのか? 彼はそう思った。

立ち尽くしているジョンは、かなり打ちのめされているようだった。 けれども、どんなに弱っているように見えても瞳のうちに毒気を宿しているのは明白だ。 まるで、目の前の女の子二人を痛い目に遭わせてやろうと決めたかのように。 ミシェルは明らかに怯えていて、 思わずニーナの後ろに隠れてしまったほどだった!

「どうしよう?」

「そんなこと私に聞かないでよ!」

「じゃあ、誰に聞けっていうのよ? あなたしかいないじゃない」