翌日、朝日がゆっくりと地平線に昇ると 東から差し込むきらめく光で水色の空が暖かく染まり、 爽やかな風がカーテンを揺らしてさざ波を立てた。

もう、朝は深い静けさとともに明けていた。

その頃、ニーナはゆっくりと目を覚まし、意識を取り戻すと呻き声を上げた。 そして、無意識に寝返りを打ち、柔らかく心地よい温もりのあるジョンの体からベッドの隅に転がり込む。 けれども隅っこは少しひんやりしていたので、掛け布団をしっかりと引っ張ってジョンに背中をくっつけ、そちらに引き寄せられていった。

ニーナがそうやっている間、ジョンの体は抑えきれないほど緊張しており、 まつげはピクピク震えて力なく天井を見つめていたが、 数秒後、ほっと大きな溜息を吐いた。

昨夜は眠ることができなかったのだ。

あごは無精ひげに覆われ、手足は痺れてジンジンしている。 動くのもやっとで、ほんの少し身動きすると全身が痛む有様だった。

ニーナはぐっすり眠れたが、ジョンは一晩中拷問されて死にそうだったのだ。

とは言え、筋肉痛がどうであろうともう起きなければならない。

ジョンはそっと起き上がるとシャワーを浴びて気分転換し、カジュアルな服に着替え、スリッパを履いて階下に降りて行った。

この屋敷はノースヤードと呼ばれており、 郊外の高級な丘の中腹にあるため、 バルコニーに立つと街全体を見渡すことができるのだ。 そして、その辺りで唯一の屋敷でもあった。

ジョンはそこで生活しているのだが、 それほど大きな屋敷という訳ではなく二つのフロアと小さな庭があるのみだ。 けれども、早朝の霧に覆われたこの場所は静謐な雰囲気を湛えていた。

「シー 様?」 ヘレン・リーはジョンの日々の食事と家事の世話を担当する使用人で、 今朝もいつものように早起きして新鮮な食材を買いに市場に出かけるところだった。 しかし、驚いたことにジョンがもう起きている。