ジェームズはチャン家に何か手出ししたのだろうか?

だとしても、ニーナにとって大して驚くようなことではなかった。 ジェームズはイザベラに良いように利用されそうになったことに気づいて仕返しがしたかったのかもしれないし、恥ずかしい目に遭わされてカンカンになり、面子を保とうとしたのかもしれない。

「ミミ、それは違うわ」 ニーナは思わず目を泳がせる。「ジェームズがチャン家とやりあっているとしても、私のせいじゃないのよ」

何しろ、彼女は彼に大した影響を及ぼしている訳ではないのだ。

当てが外れたミシェルはぽっちゃりした頬を膨らませ、後悔しているようにも見えた。 (ニニには頼る人がいないから、ジェームズが後ろ盾になってくれたら良いのに)

何と言ってもお金持ちだし、かっこいいし、力もあるんだから。

「ニニ、チャン家が今どんな悲惨なことになっているか知ってるの? 破産宣告の寸前よ。イザベラももうすぐ無一文だわ。ジェームズを怒らせちゃったんだから、自業自得だけど」チャン家の悲惨な状況について触れたという、たったそれだけのことだったのにミシェルは何故か嬉しそうで、まるでイザベラに深い恨みでもあるかのようだった。

そしてもちろん、二人の間には実際に蟠りがあったのだ。 二人は以前、同じクラブに所属していたのだが、イザベラはミシェルを召使いのようにこき使い、毎日際限なく何でもかんでもやらせていたのだ。そして、イザベラは機嫌が悪くなるとミシェルに当り散らし、クラブ全員の前で叱り飛ばしていた。

無礼で品のない人々と同じレベルに自分まで身を落としてはいけないと両親にしつけられていなかったら、ミシェルは屈辱に耐えられなかっただろう。