2階部分に上がって通路の奥にある扉へ、吸い込まれるように入って行く倖たちだが、私はその部屋へと入る手前で手を振りほどいて立ち止まる。振り向いた修人は目で何をしていると言うのに、掴まれていた手首をさすって答える。

「私は部外者だから」

 明らかに幹部以上でないと入れない部屋に、部外者である私がずかずかと入り込むのはどうしても気が引けるのだ。境界線を越えるその行為に忌避感を覚えずにはいられず、巻いてある包帯の存在を服の上から確かめる。
 先程から胸中を渦巻く戻りたいという気持ちが暴れ出してしまいそうなのを抑えながら、最後の抵抗とばかりに後退する。

「はーい、棗ちゃんも入った入ったー」

 思いがけずに後ろから押されたことで体勢を崩し、半ば前のめりになりながら修人の胸へと収まって振り返る。いとも容易く私の抵抗を崩したのはレオであり、こちらの気も知らずにあくびをしながらソファへと腰を下ろす。
 駄目なのにと零す私を捉えた修人は、手を引いたかと思えば強引にソファへと座らせる。
 目を瞬かせる私をよそに、彼らは彼らでくつろぎ始める始末であり、言葉をそれ以上紡げることもなく黙るしかない。

「なっちゃん、メット取らないの?」

 備え付けられている冷蔵庫を漁る蒼の手にあるのは缶チューハイであり、こんな時間から飲むのかと思った矢先にカシュリという音が聞こえる。
 首を横に振る私に蒼はふーんとだけ返すと、缶に口を付けようとする。しかしその前に背後に立ったレオがその缶を取り上げると同時に、どこからか取り出した長めの定規があり鈍い音に眉に皺を寄せる。