「棗ちゃん、危ないから気を付けてくださいね」
先行していた倖が横に並ぶと声を掛けてくる。当然のようにヘルメットなど着用しておらず、だというのに脇目運転とは危ない奴だと呆れてしまう。
「前を向けーっ!」
彼は無邪気にけらけらと笑い、また先行するようにスピードを上げていく。楽しそうなその様に、インテリ風に見えて彼も暴走族なんだなぁと思ってしまうのは仕方がないだろう。
速度を下げることなく街中に入れば、ちらほらと立ち止まって通り過ぎるのを見ている人たちがいることに気付いた。男女関係なく皆一様にスマホを掲げているから、写真を撮っているだろうことは容易に想像出来る。
彼らはルックスにも秀でているから、狼嵐というのはかなり人気もあるのだろう。
時折狼帝様や名前を呼ばれているのに反応することもなく、速度を落とさずに通り過ぎていく。女性の媚びた声は耳に残りやすく、修人の背中からも嫌悪感が伝わってくるところに笑ってしまう。
鬼龍にいた時も仲間がこういった声にうんざりしていたのを思い出してしまったからだ。
どこを通ろうとも声を掛けられることに驚きもしなくなった頃に、遠くから別のバイク音が響いて来ていることに気が付いた。ヘルメットをしているものの、他の人より幾分か耳のいい私だが修人は気付いていないようだった。
「なんか! 別の! 来る!?」
背中を叩いて傾けた耳に騒音に負けないように叫べば、彼も気付いたらしく倖に指示を送っていた。
先行していた倖が横に並ぶと声を掛けてくる。当然のようにヘルメットなど着用しておらず、だというのに脇目運転とは危ない奴だと呆れてしまう。
「前を向けーっ!」
彼は無邪気にけらけらと笑い、また先行するようにスピードを上げていく。楽しそうなその様に、インテリ風に見えて彼も暴走族なんだなぁと思ってしまうのは仕方がないだろう。
速度を下げることなく街中に入れば、ちらほらと立ち止まって通り過ぎるのを見ている人たちがいることに気付いた。男女関係なく皆一様にスマホを掲げているから、写真を撮っているだろうことは容易に想像出来る。
彼らはルックスにも秀でているから、狼嵐というのはかなり人気もあるのだろう。
時折狼帝様や名前を呼ばれているのに反応することもなく、速度を落とさずに通り過ぎていく。女性の媚びた声は耳に残りやすく、修人の背中からも嫌悪感が伝わってくるところに笑ってしまう。
鬼龍にいた時も仲間がこういった声にうんざりしていたのを思い出してしまったからだ。
どこを通ろうとも声を掛けられることに驚きもしなくなった頃に、遠くから別のバイク音が響いて来ていることに気が付いた。ヘルメットをしているものの、他の人より幾分か耳のいい私だが修人は気付いていないようだった。
「なんか! 別の! 来る!?」
背中を叩いて傾けた耳に騒音に負けないように叫べば、彼も気付いたらしく倖に指示を送っていた。
