弱いのは私の方だ。やはり、私は異常者なんだろうか、なんて。
不意に、視界の端で揺れた白に目がいく。
戒めの白が、先生の血により赤く染め上がる様に、喉から漏れでる声にならない悲鳴。
何度も何度も、反撃の隙を与えずに殴り続けた手から滴る血を辿れば、袖から覗いた露わになった“ソレ”。
先生が呻くのに、まただ、と頭痛にふらつく。
悔やんでも、無意味だと嘲笑う風が吹き抜け、鼻腔を鉄の香りが擽った。
大嫌いで、憎らしい、馴染みのある懐かしい匂い。
何度謝っても、取り返しのつかないことをしてしまった。傷付け、罪を重ねてしまったことへの自身に対する軽蔑。
思い知っていたはずなのに、どうして私はこんなことしかできないのか。感情の乱れを、暴力による衝動的な現実逃避を抑えられない己の手が憎くてたまらない。
頬から温かいものが流れ出て、喉の奥が苦しくて、微かに漏れた嗚咽が鼓膜を突き抜けた。床を濡らす雫が、血の中に波紋をつくる。
ボヤけた視界の中で、先生が見下ろす私に手を伸ばす。取れないことを知っているのか、彼は私の頬を撫ぜ静かに口を開いた。
「おい、なにしてんだ」
先生の声を遮るようにして入る、第三者の声に振り向く。蒼とレオ、それに倖と修人がこの惨状に驚きで目を丸くしていた。その後ろではほかの生徒の姿も見え、恐怖の色も滲んでいた。
「修人、保健室に」
倖は話はそれからだと、先生の手を取る。蒼とレオもそれに続いて、修人が私を見据えた。
不意に、視界の端で揺れた白に目がいく。
戒めの白が、先生の血により赤く染め上がる様に、喉から漏れでる声にならない悲鳴。
何度も何度も、反撃の隙を与えずに殴り続けた手から滴る血を辿れば、袖から覗いた露わになった“ソレ”。
先生が呻くのに、まただ、と頭痛にふらつく。
悔やんでも、無意味だと嘲笑う風が吹き抜け、鼻腔を鉄の香りが擽った。
大嫌いで、憎らしい、馴染みのある懐かしい匂い。
何度謝っても、取り返しのつかないことをしてしまった。傷付け、罪を重ねてしまったことへの自身に対する軽蔑。
思い知っていたはずなのに、どうして私はこんなことしかできないのか。感情の乱れを、暴力による衝動的な現実逃避を抑えられない己の手が憎くてたまらない。
頬から温かいものが流れ出て、喉の奥が苦しくて、微かに漏れた嗚咽が鼓膜を突き抜けた。床を濡らす雫が、血の中に波紋をつくる。
ボヤけた視界の中で、先生が見下ろす私に手を伸ばす。取れないことを知っているのか、彼は私の頬を撫ぜ静かに口を開いた。
「おい、なにしてんだ」
先生の声を遮るようにして入る、第三者の声に振り向く。蒼とレオ、それに倖と修人がこの惨状に驚きで目を丸くしていた。その後ろではほかの生徒の姿も見え、恐怖の色も滲んでいた。
「修人、保健室に」
倖は話はそれからだと、先生の手を取る。蒼とレオもそれに続いて、修人が私を見据えた。
