彼女はゆらりと立ち上がると、動けない僕たちへと近付いてくる。なんの感情もない彼女の顔は、やっぱりなっちゃんにそっくりで、だからこそ余計に疑問は尽きないままだった。
「少しの間だけでも、大人しくして欲しいの。そうすれば、ちゃんと全部終わらせるから」
彼女のその言葉はなにを意味しているのか。またも独り言のようなそれを残し、1人ずつの腹に重い一撃を食らわせていく。
鋭い痛みは小さな呻き声を口から零れさせ、衝撃に体を支え続けることが出来ずに倒れる。視界はスローモーションのようで、地面に伏せた痛みよりも彼女に殴られた腹の方が痛かった。
修人も倖も同様にして倒れているのが見え、徐々に薄れていく意識にレオと彼女の姿がぼんやりと映る。
「泥舟に乗り続けるつもり?」
「女の子ひとりでどうにかなるなら、とっくに沈んでたよ」
彼女の重い拳がレオの腹部に刺さるが、崩れそうになるレオを支えたまま彼女は言葉を続ける。
「男ひとりに消された過去があるんだから、燃やせば全部一緒だよ」
「火が......怖いくせに......」
意識がなくなるレオを離した彼女の横顔は、少しだけ悲しそうに見えた。
結局僕たちはただ一方的に蹂躙され、意識は暗闇に引き摺り呑まれた。
*
好きなはずのバイクの唸る音が今は耳障りでしかなく、それが余計に俺を苛立たせる。
出て行った棗を追い掛け、バイクを走らせているものの、未だに彼女の背中を見つけることは出来ていなかった。
「少しの間だけでも、大人しくして欲しいの。そうすれば、ちゃんと全部終わらせるから」
彼女のその言葉はなにを意味しているのか。またも独り言のようなそれを残し、1人ずつの腹に重い一撃を食らわせていく。
鋭い痛みは小さな呻き声を口から零れさせ、衝撃に体を支え続けることが出来ずに倒れる。視界はスローモーションのようで、地面に伏せた痛みよりも彼女に殴られた腹の方が痛かった。
修人も倖も同様にして倒れているのが見え、徐々に薄れていく意識にレオと彼女の姿がぼんやりと映る。
「泥舟に乗り続けるつもり?」
「女の子ひとりでどうにかなるなら、とっくに沈んでたよ」
彼女の重い拳がレオの腹部に刺さるが、崩れそうになるレオを支えたまま彼女は言葉を続ける。
「男ひとりに消された過去があるんだから、燃やせば全部一緒だよ」
「火が......怖いくせに......」
意識がなくなるレオを離した彼女の横顔は、少しだけ悲しそうに見えた。
結局僕たちはただ一方的に蹂躙され、意識は暗闇に引き摺り呑まれた。
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好きなはずのバイクの唸る音が今は耳障りでしかなく、それが余計に俺を苛立たせる。
出て行った棗を追い掛け、バイクを走らせているものの、未だに彼女の背中を見つけることは出来ていなかった。
