私にとってかけがえのないもの。手放したことによる喪失感と、恩を仇で返したあとの罪悪感に頭の奥が痛かった。
綾も、心葉も、紘も、みんなも。手を離してしまったことに、胃の奥から込み上げるのは取り返しのつかないことへの嫌悪だ。
けれど、ようやく取り戻したあの人が目を覚まさないという報せは、私にとって大きな衝撃を与えたのだ。私が遊んでいたせいで、私がのうのうと生きていたせいで。
この世の全ての不幸はまるで私のせいだと言わんばかりの衝撃だったのだ。
なにもかもが嫌だ。生きていることも、死ねないことも、殺せないことも、巻き込むことも、思い出してしまうことも、あの日のことも。
こんなことになるのなら、私はあの場所から出るべきではなかった。こんなことになると分かっていたのなら、私はあいつに手を伸ばしなどしなかった。
いっそのこと、死んでしまっていた方が、きっと誰も傷付きはしなかった。
逆らうことなく息を殺していれば、あいつでさえもこうなりはしなかっただろうにと行き場のないやるせなさが残る。
無我夢中とはこのことで、気付いたら私の手は赤く腫れていて、その赤は黒い何かが付着している。眼下には腫れ上がった顔で涙を流しながら、か細い声で許しを乞う人。
恐怖に染まった彼らを一方的に殴り続け、気を失わせても止めることなく拳を振り下ろしていた。
確か、嫌がる女の子を囲んで無理やりホテルへ連れ込もうとしているのを見たんだったか。ぼんやりと思い出せるのはそこまでで、庇ったはずの女の子は既に恐怖に逃げていた後だった。
綾も、心葉も、紘も、みんなも。手を離してしまったことに、胃の奥から込み上げるのは取り返しのつかないことへの嫌悪だ。
けれど、ようやく取り戻したあの人が目を覚まさないという報せは、私にとって大きな衝撃を与えたのだ。私が遊んでいたせいで、私がのうのうと生きていたせいで。
この世の全ての不幸はまるで私のせいだと言わんばかりの衝撃だったのだ。
なにもかもが嫌だ。生きていることも、死ねないことも、殺せないことも、巻き込むことも、思い出してしまうことも、あの日のことも。
こんなことになるのなら、私はあの場所から出るべきではなかった。こんなことになると分かっていたのなら、私はあいつに手を伸ばしなどしなかった。
いっそのこと、死んでしまっていた方が、きっと誰も傷付きはしなかった。
逆らうことなく息を殺していれば、あいつでさえもこうなりはしなかっただろうにと行き場のないやるせなさが残る。
無我夢中とはこのことで、気付いたら私の手は赤く腫れていて、その赤は黒い何かが付着している。眼下には腫れ上がった顔で涙を流しながら、か細い声で許しを乞う人。
恐怖に染まった彼らを一方的に殴り続け、気を失わせても止めることなく拳を振り下ろしていた。
確か、嫌がる女の子を囲んで無理やりホテルへ連れ込もうとしているのを見たんだったか。ぼんやりと思い出せるのはそこまでで、庇ったはずの女の子は既に恐怖に逃げていた後だった。
