凄惨に転がる死体と、鼻腔にこびり付いて離れない濃密な血の香り。人の死は何度も胃の中を掻き回して、脳内を犯して壊す。
炎に焼かれるのは優しくしてれた人たちで、耳元で囁くのは殺すべき者の声。
だからこそ願うのだ。
誰も巻き込まず、全てを壊して背負って地獄へと落ちてやろうと。
左手で右手首を握り締め、爪を食い込ませて肌を破る。鈍い痛みは脳に危険信号を送るが、やめることなくさらに力を込める。
全部壊せれば、こんな命など要らないのだ。
生きていられる強さなどなく、死んで楽になることを償いだと呼んでいるだけ。
泣き叫びたくなる衝動に、ここは街中であることを言い聞かせて宥める。
渇いた喉に代わりとばかりに、手首に突き立てた爪に力をさらに込めれば、じんわりと血が滲んでくる。それでもやめることなく力を入れれると、ぽたりと雫が指先を伝う。
生々しい香りは酷く不快で、どんなことをしても消えないのだと否が応でも理解させられる。
「出血多量って、どこからなんだろ」
このような“かすり傷”では死ぬことは出来ないと分かっていながらも、そう願わずにはいられない。自殺願望があると認めることは容易で、けれどそのやり方の幼稚さには笑えもしない。
出血自体はそこまで酷くないものの、包帯を巻き直したところで血がついてしまうだろうなと少しだけ公開する。家に帰ったら捨てようと、適当に巻き付け路地裏から出ようとする。
炎に焼かれるのは優しくしてれた人たちで、耳元で囁くのは殺すべき者の声。
だからこそ願うのだ。
誰も巻き込まず、全てを壊して背負って地獄へと落ちてやろうと。
左手で右手首を握り締め、爪を食い込ませて肌を破る。鈍い痛みは脳に危険信号を送るが、やめることなくさらに力を込める。
全部壊せれば、こんな命など要らないのだ。
生きていられる強さなどなく、死んで楽になることを償いだと呼んでいるだけ。
泣き叫びたくなる衝動に、ここは街中であることを言い聞かせて宥める。
渇いた喉に代わりとばかりに、手首に突き立てた爪に力をさらに込めれば、じんわりと血が滲んでくる。それでもやめることなく力を入れれると、ぽたりと雫が指先を伝う。
生々しい香りは酷く不快で、どんなことをしても消えないのだと否が応でも理解させられる。
「出血多量って、どこからなんだろ」
このような“かすり傷”では死ぬことは出来ないと分かっていながらも、そう願わずにはいられない。自殺願望があると認めることは容易で、けれどそのやり方の幼稚さには笑えもしない。
出血自体はそこまで酷くないものの、包帯を巻き直したところで血がついてしまうだろうなと少しだけ公開する。家に帰ったら捨てようと、適当に巻き付け路地裏から出ようとする。
