「......ハハッ、まさかあんたが“姫”だったとはね。つまり篠原の連中はあんたを拾ったから潰されたわけか」
頭を抱えたままの彼女は深く溜息をつくと、視線だけをこちらに向けてそう吐き捨てた。
ちりちりと肌を刺す殺気が私の返答を急く。
私は肯定も否定も口にせず、かといって頷くこともせずにその目を見詰め返す。ほんの数秒のそれは彼女が何かを得るには十分なようで、瞬きとともに殺気が消える。
ゆらりと立ち上がり、そのまま背を向けると引き出しから何かを取り出す。振り向きざまに投げて寄越されるそれを掴み取り、手のひらを開けてみればそこにはUSBメモリがあった。
言わずともそれが“雛菊”に関することが詰まった代物であることは理解でき、灰皿に置いていた煙草を手に取る彼女を見やる。
「“情報屋”なんだと謳っちゃいるがね、あたしはただの逃げ損ないだよ。足を洗おうにも洗えず、かといってどちらにも戻れなくなった半端者だ。けどあの子たちはそんなあたしを慕う可愛い子供だ」
彼女の背にするモニターは店内を映しており、そこには客を相手に花を咲かせる女たちの姿が映っている。
「情報はくれてやるし、対価も要らないさ。だからこっちにまで“煙”を持って来るんじゃないよ」
吐き出された煙は懇願を乗せて部屋を漂う。望むものを与えられた今、その頼みを断れることはない。
頷きとともに約束をする。
誰にも死んで欲しくはないのだ。私がいることで誰かを犠牲にする様を、もう二度と見たくはない。
頭を抱えたままの彼女は深く溜息をつくと、視線だけをこちらに向けてそう吐き捨てた。
ちりちりと肌を刺す殺気が私の返答を急く。
私は肯定も否定も口にせず、かといって頷くこともせずにその目を見詰め返す。ほんの数秒のそれは彼女が何かを得るには十分なようで、瞬きとともに殺気が消える。
ゆらりと立ち上がり、そのまま背を向けると引き出しから何かを取り出す。振り向きざまに投げて寄越されるそれを掴み取り、手のひらを開けてみればそこにはUSBメモリがあった。
言わずともそれが“雛菊”に関することが詰まった代物であることは理解でき、灰皿に置いていた煙草を手に取る彼女を見やる。
「“情報屋”なんだと謳っちゃいるがね、あたしはただの逃げ損ないだよ。足を洗おうにも洗えず、かといってどちらにも戻れなくなった半端者だ。けどあの子たちはそんなあたしを慕う可愛い子供だ」
彼女の背にするモニターは店内を映しており、そこには客を相手に花を咲かせる女たちの姿が映っている。
「情報はくれてやるし、対価も要らないさ。だからこっちにまで“煙”を持って来るんじゃないよ」
吐き出された煙は懇願を乗せて部屋を漂う。望むものを与えられた今、その頼みを断れることはない。
頷きとともに約束をする。
誰にも死んで欲しくはないのだ。私がいることで誰かを犠牲にする様を、もう二度と見たくはない。
