2人の視線に文句を言えば、ふとスマホが鳴ったのが聞こえた。振動とともに聞こえたそれは私のもので、嫌な予感を覚えつつも取り出せば案の定。
「棗ちゃん、口元引きつってるけどどうしたの?」
「なになにー?」
画面を見たまま固まっているのをいいことに、2人は勝手に覗き込んでくる。画面を見るやいなや2人は同様にして固まり、次いで蒼は険しい顔つきになってから振り返る。
「蒼、見なかったことにしよう」
「うん、誰?」
レオに助けを求めようにも彼は同情の目を向けるだけで、引き下がらない蒼の顔が近い。
私が逃げられないように腕を掴んでいて、逸らそうとする視線さえも許さないとばかりに顔をさらに近付けてくる。
今が授業中であることを忘れているであろうことを告げても、彼は関係ないと容赦なく切り捨てる。蒼越しに目が合った先生は笑っているだけで助けてはくれないところが倖に似ていて、裏切り者と目だけで訴えた。
周囲に視線を投げても皆敢えてこちらを見ないようにしており、それでもこちらが気になるのかちらりとこちらを見ているのだから浅ましい。目が合った山本くんはすぐさま逸らしてしまい、その背中に許さないと視線を送れば彼は震えていた。
「従兄弟なんだよ」
観念してそう呟けど、手は未だに離れずにいる。
従兄弟であると言ったものの、“鬼龍”の副総長であることには変わりない。バレてしまわないかと冷や冷やするが、名前までは出回っていないらしくそこに追及はなかった。
「棗ちゃん、口元引きつってるけどどうしたの?」
「なになにー?」
画面を見たまま固まっているのをいいことに、2人は勝手に覗き込んでくる。画面を見るやいなや2人は同様にして固まり、次いで蒼は険しい顔つきになってから振り返る。
「蒼、見なかったことにしよう」
「うん、誰?」
レオに助けを求めようにも彼は同情の目を向けるだけで、引き下がらない蒼の顔が近い。
私が逃げられないように腕を掴んでいて、逸らそうとする視線さえも許さないとばかりに顔をさらに近付けてくる。
今が授業中であることを忘れているであろうことを告げても、彼は関係ないと容赦なく切り捨てる。蒼越しに目が合った先生は笑っているだけで助けてはくれないところが倖に似ていて、裏切り者と目だけで訴えた。
周囲に視線を投げても皆敢えてこちらを見ないようにしており、それでもこちらが気になるのかちらりとこちらを見ているのだから浅ましい。目が合った山本くんはすぐさま逸らしてしまい、その背中に許さないと視線を送れば彼は震えていた。
「従兄弟なんだよ」
観念してそう呟けど、手は未だに離れずにいる。
従兄弟であると言ったものの、“鬼龍”の副総長であることには変わりない。バレてしまわないかと冷や冷やするが、名前までは出回っていないらしくそこに追及はなかった。
