脇腹を押さえながら言う彼に、今度は明確な憎しみを持って舌打ちをする。
単なる八つ当たりと悪ふざけではあるものの、なんでだと困り顔をするレオを見るのは面白い。レオはもっと小難しさがあったはずなのに、最近はとても親しみやすくてついついぞんざいな扱いをしてしまうのだ。
そんなレオをおいて蒼は私のテストをじっと見つめ、次いでふと浮かんだ疑問を口にした。
「なっちゃん家って、あんまり厳しくなかったの?」
それは純粋で、単なる思いつき。
他意など介在する余地のないその質問に、されどぴしりと空気が凍りつくのを感じた。
私に親などいなく、それらであったものは死んでしまったし殺してしまったのだ。炎の中に手招きするのは幻覚なのだからと、右手首を握ってようやく現実へとかえれる。
忘れたりなどするものか。罪を犯したことも、受けていない罰のことも。その重さを決して忘れることなど出来ない。
「ふーん、進学とかするわけでもないんでしょ?」
「......うん、まぁしないかな」
レオが凍る空気を溶かそうとするのに、私は曖昧に笑って答える。
先のことを、未来の話をするのは抵抗があった。私はもう死ぬことが決まっているのだから。
「じゃあ大丈夫だね! この学校は授業さえ出ていれば留年もしないし」
そんなので良いのかこの学校はと、未だに謎な理事長の教育方針に疑念を抱く。
だが私のような頭がお粗末な者にとっては好都合なのだから、感謝のために合掌をあらぬ方向へとすれば、2人からは奇異なものを見る目で見られてしまった。
単なる八つ当たりと悪ふざけではあるものの、なんでだと困り顔をするレオを見るのは面白い。レオはもっと小難しさがあったはずなのに、最近はとても親しみやすくてついついぞんざいな扱いをしてしまうのだ。
そんなレオをおいて蒼は私のテストをじっと見つめ、次いでふと浮かんだ疑問を口にした。
「なっちゃん家って、あんまり厳しくなかったの?」
それは純粋で、単なる思いつき。
他意など介在する余地のないその質問に、されどぴしりと空気が凍りつくのを感じた。
私に親などいなく、それらであったものは死んでしまったし殺してしまったのだ。炎の中に手招きするのは幻覚なのだからと、右手首を握ってようやく現実へとかえれる。
忘れたりなどするものか。罪を犯したことも、受けていない罰のことも。その重さを決して忘れることなど出来ない。
「ふーん、進学とかするわけでもないんでしょ?」
「......うん、まぁしないかな」
レオが凍る空気を溶かそうとするのに、私は曖昧に笑って答える。
先のことを、未来の話をするのは抵抗があった。私はもう死ぬことが決まっているのだから。
「じゃあ大丈夫だね! この学校は授業さえ出ていれば留年もしないし」
そんなので良いのかこの学校はと、未だに謎な理事長の教育方針に疑念を抱く。
だが私のような頭がお粗末な者にとっては好都合なのだから、感謝のために合掌をあらぬ方向へとすれば、2人からは奇異なものを見る目で見られてしまった。
