「俺はね、結構やればできる子なんだよね」

「そう、蒼はできる子なんだから」

 俺は彼女によって昇華できた気持ちがあるのに、彼女は誰が救うのかと目を伏せる。
 傷痕を抱えたままの棗が、いつかどこかへ行ってしまうことが怖いのだと言えずに、俺は笑う彼女を目に焼き付けることしか出来なかった。