怒りが滲み始めればレオは気付いたらしく、私を指さしていた手を下ろさせて言う。

「こらこら指は指すものじゃないでしょ、女の子に失礼だよ。......まぁみんなの言わんとすることは分かるけど、彼女に下心がないことだけは俺が保証するよ。俺たちがこの子の虜になっちゃっただけだからね」

 やめてくれ、全力でやめてくれ。
 正気を疑うような目で彼を見れば、事実でしょと何の気なしに言われるのだから頭が痛い。弁解してくれるのはありがたいが、更なる誤解を生むとは思わないだろうが。
 曲解を招くその物言いに、慌てて訂正するように声を上げた。

「レオたちとは“ただの”友達の篠原 棗です。彼らとは“ただの”友達だから、私のことはそう認識してください」

 ただのを強調した上で2回言えば、嫌でもそれが正しいとわかってくれるだろう。わかってくれないと困る。
 だが未だに飲み込めない彼らは困惑を浮かべているもので、私はいちばん伝えたかったことを口にする。

「あの、あなたたちの大事な場所に勝手に入り込んでごめんなさい。嫌なのに、私を出入りさせてくれてありがとう」

 私にもここが彼らにとって、どういう場所なのかよく理解しているつもりだ。
 幹部の手前言えなかっただけにしろ、私を追い出さずに入れてくれたことへの感謝を笑顔をもって伝える。
 すると私を指さしていた男は頬を紅潮させるもので、どうしたのかと聞こうとすれば腕を掴まれる。