頭を抱えたくなるほどの現実に、経緯の説明を求めれば雑な答え。なんでこうなると叫んでやる気力もわかない。
あの後すぐに私は修人に担がれ、身動きを封じられるとそのまま倖が手配していたらしい車へと放り込まれた。そしてドナドナされ、現在は狼嵐の占拠する廃工場にいるわけだ。
私が悪かったのか。いやそんなわけないだろう。
隣で長い足を組み、雑誌に視線を落とす修人を睨みつける。バイクの雑誌だろうか、流し見るように捲る手を止め、こちらを見ると彼はそのままこちらへと差し出した。
「読みたいなら貸すぞ」
何をどうしたらそう解釈するのかまったく分からない。
押し返して噛み付くように口を開く。
「帰る!」
「送る」
「要らない!」
「じゃあ駄目だ」
また雑誌に戻る修人の前で地団駄でも踏みまくってやろうか。
埒が明かない押し問答に、焦れったさから怒りが溜まるのを感じざるを得ない。握った拳は既に発射準備がよろしく、あとは狙いを定めるだけだ。
「あなたに不自由を強いたいわけではないのですが、“寵姫”に何かあれば狼嵐の名折れなんですよ。万が一も起きないよう牽制をさせて欲しいというだけです」
レオの隣でコーヒーを片手に、倖は眉を下げながら弁解する。
その要求は私にとって不要なものであるとレオは分かっているだろうに、視線を投げても気付かないフリをしてパソコンから目を離さない。
倖の言い分は分からなくもない。だが、私にとってそれは煩わしいとしか思えない。
あの後すぐに私は修人に担がれ、身動きを封じられるとそのまま倖が手配していたらしい車へと放り込まれた。そしてドナドナされ、現在は狼嵐の占拠する廃工場にいるわけだ。
私が悪かったのか。いやそんなわけないだろう。
隣で長い足を組み、雑誌に視線を落とす修人を睨みつける。バイクの雑誌だろうか、流し見るように捲る手を止め、こちらを見ると彼はそのままこちらへと差し出した。
「読みたいなら貸すぞ」
何をどうしたらそう解釈するのかまったく分からない。
押し返して噛み付くように口を開く。
「帰る!」
「送る」
「要らない!」
「じゃあ駄目だ」
また雑誌に戻る修人の前で地団駄でも踏みまくってやろうか。
埒が明かない押し問答に、焦れったさから怒りが溜まるのを感じざるを得ない。握った拳は既に発射準備がよろしく、あとは狙いを定めるだけだ。
「あなたに不自由を強いたいわけではないのですが、“寵姫”に何かあれば狼嵐の名折れなんですよ。万が一も起きないよう牽制をさせて欲しいというだけです」
レオの隣でコーヒーを片手に、倖は眉を下げながら弁解する。
その要求は私にとって不要なものであるとレオは分かっているだろうに、視線を投げても気付かないフリをしてパソコンから目を離さない。
倖の言い分は分からなくもない。だが、私にとってそれは煩わしいとしか思えない。
