急速に冷えていく手足に、綾たちのことを思い出してしまう。
甘やかすのが上手い彼らに、笑い合っていた日々の脆さ。
今が楽しくないと言えば嘘になる。けれど、ここには私のいちばん大切な人たちはいない。それだけなのに、その事実にいつも苦しくなるのだ。
食後も特に授業に出ることもなく、屋上で過ごしていればあっという間に放課後になってしまう。
そろそろ帰ろうかと腰を上げれば、修人の声がかけられる。
「お前、家はどこだ」
唐突なそれは送って行くとでも言いたいのだろうか。
首を振って拒否反応を示したところで、聞き分けがいい彼らではないのだ。
「それもまた言えないのですか?」
聞き流しながら帰り支度をして屋上を出る。彼らもまた同じように着いてきながらも、食い下がってくるのだからよっぽど暇らしい。
ぞろぞろと連れ立って歩けば人が勝手に避けてくれるから楽なのだが、後ろから囀られ続ければ呆れてしまう。
送って行くという言葉に、盛大にため息をついてから振り返る。
「要らない! 友達相手に過保護過ぎるししつこいって!」
「危機感が薄いことを責めることはない。だが俺たちにも面子ってものがあるからな」
何事かを思案するように顎に手をあてる修人に、一体なにを言っているのかと眉をしかめる。修人の隣に立つレオと倖がやれやれとばかりに笑っているのに寒気を感じ、一歩下がろうとすれば修人は答えを得たらしい。
「誰か説明してくれる?」
「棗ちゃんががんこちゃんだから」
レオはソファに座りながらノートパソコンのモニターへ目を向けたまま応える。
甘やかすのが上手い彼らに、笑い合っていた日々の脆さ。
今が楽しくないと言えば嘘になる。けれど、ここには私のいちばん大切な人たちはいない。それだけなのに、その事実にいつも苦しくなるのだ。
食後も特に授業に出ることもなく、屋上で過ごしていればあっという間に放課後になってしまう。
そろそろ帰ろうかと腰を上げれば、修人の声がかけられる。
「お前、家はどこだ」
唐突なそれは送って行くとでも言いたいのだろうか。
首を振って拒否反応を示したところで、聞き分けがいい彼らではないのだ。
「それもまた言えないのですか?」
聞き流しながら帰り支度をして屋上を出る。彼らもまた同じように着いてきながらも、食い下がってくるのだからよっぽど暇らしい。
ぞろぞろと連れ立って歩けば人が勝手に避けてくれるから楽なのだが、後ろから囀られ続ければ呆れてしまう。
送って行くという言葉に、盛大にため息をついてから振り返る。
「要らない! 友達相手に過保護過ぎるししつこいって!」
「危機感が薄いことを責めることはない。だが俺たちにも面子ってものがあるからな」
何事かを思案するように顎に手をあてる修人に、一体なにを言っているのかと眉をしかめる。修人の隣に立つレオと倖がやれやれとばかりに笑っているのに寒気を感じ、一歩下がろうとすれば修人は答えを得たらしい。
「誰か説明してくれる?」
「棗ちゃんががんこちゃんだから」
レオはソファに座りながらノートパソコンのモニターへ目を向けたまま応える。
