さらりと流れる灰色の髪の根元が黒くなっているのが見え、指先で弄んでしまう。
「おい、話は済んだか?」
唐突に影ができ、見上げれば修人が立っていた。仄かに煙草の香りを纏わせながらこちらを見下ろす彼に、待っていてくれたのだとやっと気付く。
倖は2本目を吹かし始めたのか、視線に気づくと手を振ってくれる。その歳で肺が真っ黒なのはどうなのよと言いたくなるが、身内でもない私が言うことではない。
「棗、昼飯ここでいいか?」
修人の言葉に驚いてスマホの時計を確認すればとっくにお昼は過ぎており、そんなに時間が経っていたのかと驚愕する。
時間さえ確認してしまえば多少なりとも空腹を感じざるを得なく、綾の顔を思い出してしまう。朝食は受け付けないことが多いくせに、昼食で賄おうとするあたりが現金な体だ。
「私も一緒なの?」
「まだ断る理由があるのか?」
スマホで何かしらの連絡をとっているらしく、修人は画面を見ながら答える。
「私今日お弁当なんだけど、教室に置いてきちゃった」
綾はお昼にとお弁当を持たせてくれていて、彼は将来いいお嫁さんになれるだろうことを確信している。
顔良し器量良しな優良物件なのだから、引く手あまたとはまさにこのこと。
「取りに行かせますよ」
携帯灰皿に煙草を押し付けながら戻って来る倖に、おっさんだと思ってしまったことは口に出せるはずがない。私の中で携帯灰皿=おっさんの図式があるせいか、頭の中で倖はおっさんと言う良くない考えがぐるぐると回っている。
「おい、話は済んだか?」
唐突に影ができ、見上げれば修人が立っていた。仄かに煙草の香りを纏わせながらこちらを見下ろす彼に、待っていてくれたのだとやっと気付く。
倖は2本目を吹かし始めたのか、視線に気づくと手を振ってくれる。その歳で肺が真っ黒なのはどうなのよと言いたくなるが、身内でもない私が言うことではない。
「棗、昼飯ここでいいか?」
修人の言葉に驚いてスマホの時計を確認すればとっくにお昼は過ぎており、そんなに時間が経っていたのかと驚愕する。
時間さえ確認してしまえば多少なりとも空腹を感じざるを得なく、綾の顔を思い出してしまう。朝食は受け付けないことが多いくせに、昼食で賄おうとするあたりが現金な体だ。
「私も一緒なの?」
「まだ断る理由があるのか?」
スマホで何かしらの連絡をとっているらしく、修人は画面を見ながら答える。
「私今日お弁当なんだけど、教室に置いてきちゃった」
綾はお昼にとお弁当を持たせてくれていて、彼は将来いいお嫁さんになれるだろうことを確信している。
顔良し器量良しな優良物件なのだから、引く手あまたとはまさにこのこと。
「取りに行かせますよ」
携帯灰皿に煙草を押し付けながら戻って来る倖に、おっさんだと思ってしまったことは口に出せるはずがない。私の中で携帯灰皿=おっさんの図式があるせいか、頭の中で倖はおっさんと言う良くない考えがぐるぐると回っている。
