空気を変えるべく、脳内をフル回転させて話題を探す。彼らと楽しく談笑をしたいわけではないが、教室へと大人しく戻らせてくれるわけもない。
 必死に考えついて出たのが自分でも外れた質問だったことは認めよう。

「ねぇ......体だけの関係って、3人もあるの?」

 空気を変えるどころか余計に悪化したようなそれに、果たして3人はあさっての方向へと視線を向けていた。言わずとも態度で示されたそれに、好奇心から口が滑ったと誤魔化してみても虚しさだけが霧散する。
 盗み見たレオの顔にはやばいと書いてあり、倖はすました顔をしているが視線を合わそうとはしない。修人はいつにも増して無感情な表情になっている。
 別に彼らがどのような交友関係を持とうと、私はそれを非難するつもりはない。

「ちょっと待って棗ちゃん? なんで静かに距離を取ろうとするのかな?」

 無言のまま30mくらい彼らとの間に距離を置けば、焦ったようにレオが過剰に反応した。ちょっと離れたくらいで大袈裟な、と笑ってみせるもレオは助けを求めて倖と修人を振り返る。

「し、仕方ないじゃん! ねぇ?」

 同意をする2人は時効だの、今はしていないだの言うもので、そうかそうかと聞き流す。
 軽蔑をする気はないが、それでもとにっこりと笑う。

「ちょっとあんまり近寄らないで欲しいかな」

 今までとは違う意味での拒絶に、彼らは複雑な表情を浮かべる。
 鬼龍にはそのようなことをする人がいなかったし、なんというか少しだけ近寄りたくないと思ってしまったのだ。なんかあの、言葉にはし難い反応故の行動をしてしまうのは許して欲しい。