「どうか俺らにあなたを守らせて、」

「無理」

 言い終えるより先に食い込む拒絶に、しーんという音が聞こえそうな程の静寂が落ちる。時を忘れたように固まっているのをいいことに、私は彼らの提案に再度拒否を示す。

「私、見殺しなんて趣味はないから」

 守られるのは嫌いなのだ。
 守られて、見ているだけで、殺して、殺されて、何も残らずに泣くだけ。もう味わいたくない絶望と消失感を、もう一度呑むことなど到底許容できるわけがない。

「馬鹿なの!? ていうか見殺しって、俺らだってそこまで弱くないよ」

「そうだね、弱くはないかもしれない。でも弱くないからと言ってあなたたちを強いとも思えない。自分の身可愛さで他者に死ねと言えるような人間になれって言うの?」

 二の句を返せないレオには死がどういうものなのか分かっていないのだろう。私という存在の危険性も。
 暴走族だけに限ってしまえば子供のおままごとのようなそれ。
 武器を使ってはいけない、薬をしてはいけない。明確な暗黙のルールの敷かれてそれに従う者が多数を締める世界は、お遊びだとしか言いようがないのだ。実力だろうとなんだろうと、彼らには生という失いようのない保険がある。
 だがしかし、“こちら側”はどうだ。
 ルールは衝突の引き金となり、法の目を掻い潜るには違反が横行している死とは紙一重の世界。厳格な縛りこそあれ、一度踏み入れれば抜け出すことなぞ容易ではない闇。
 情けも容赦も、自身の命を天秤に掛けられれば残りようがない。