「本当に? あの、加減とかそういうのする余裕なくて、結構強く叩きつけちゃったと思うんだけど」

 いくら頑丈と言えど、相手の力も利用してこちらの力も上乗せしていたのだ。どこかしらに支障をきたしていたらと心配してしまう。
 壊したいわけではないのだから。

「ああいったことに慣れていたようでしたけど、なにかされていたのですか?」

 じっとりと見詰める倖に便乗し、蒼も気になると好奇心に輝く瞳を向けてくる。
 とはいえそこまで教えてあげることはなく、秘密と意地悪く笑ってみせる。
 それが意外だったのか、倖の目が丸くなる。その表情こそが私にとっては意外であり、なんだかおかしくて思わず口元を抑えるものの、我慢出来ずに声を上げてしまう。
 けれど一度ツボに入ってしまえば止めることはできず、声を抑えながらも笑いが込み上げてくる。
 綾からツボがおかしいと言われていたが、自分でも思わぬところでツボってしまうのだから仕方ない。
 目尻に涙が滲むほど笑って落ち着けば、ぽかんとした表情をしている面々。人の爆笑する姿に失礼な顔だと文句を言おうかと思うが、蒼がそれより先に口を開いた。

「びっくりもびっくりのびっくりさんだよ」

「お前でもそんな風に笑うんだな」

 次いで修人は失礼なことを言うものだから、それにはムッとしてしまう。

「笑えるよ、笑うこともあるよ。私だって別に無感情でも無表情でもないもん」