「あそこ、狼嵐のシマだよな」
心葉は棗の寝顔から目を離すこともなく、確認するように告げた。言外に含ませたその意味を拾うのは今更他愛もないことであり、問題ないとだけ返す。
狼嵐の奴らには彼女を御することなど出来ないことは分かりきっているし、現に彼女は俺に連絡を取ろうとしていたことからも事実であった。俺たちが彼女の中でまだ大切なものであることは変わりなく、それがぽっと出の奴らに据え代わることなどなかったという事だ。
小さく声を漏らして身じろぐ棗の頬を撫でれば、彼女はその手に擦り寄るようにまた寝息をたてる。
心葉がずるいと言いたげに見てくるのを笑ってやる。
純粋な奴を見ると自分を悲観し、距離を取ろうとして昔を思い出すのだろう。そうすればいつも炎に巻かれて喉を焼かれるのだ。
悪癖だと何度言っても彼女は聞かず、そうしてしまうことがもう彼女自傷になっているのだから困ってしまう。
そんな彼女のすべてが愛おしく、大事なのだと手から零れ落ちていかないでくれと思わずにはいられないのだ。守ってやりたい、そう願えども俺たちはいつもその背中に守られてばかりであり、いつだって男としての立場が危ういことになっているのも事実だ。
警戒心が強く猫のような彼女が、無防備に眠る姿を見られるのは特権であることをどれだけの奴が知っているだろうかと悦に浸っていると、心葉がノートパソコンの画面をこちらへと見せてくる。
情報戦において優れた腕を持つ心葉は、敵に回すと厄介極まりないとその画面を覗き込む。
心葉は棗の寝顔から目を離すこともなく、確認するように告げた。言外に含ませたその意味を拾うのは今更他愛もないことであり、問題ないとだけ返す。
狼嵐の奴らには彼女を御することなど出来ないことは分かりきっているし、現に彼女は俺に連絡を取ろうとしていたことからも事実であった。俺たちが彼女の中でまだ大切なものであることは変わりなく、それがぽっと出の奴らに据え代わることなどなかったという事だ。
小さく声を漏らして身じろぐ棗の頬を撫でれば、彼女はその手に擦り寄るようにまた寝息をたてる。
心葉がずるいと言いたげに見てくるのを笑ってやる。
純粋な奴を見ると自分を悲観し、距離を取ろうとして昔を思い出すのだろう。そうすればいつも炎に巻かれて喉を焼かれるのだ。
悪癖だと何度言っても彼女は聞かず、そうしてしまうことがもう彼女自傷になっているのだから困ってしまう。
そんな彼女のすべてが愛おしく、大事なのだと手から零れ落ちていかないでくれと思わずにはいられないのだ。守ってやりたい、そう願えども俺たちはいつもその背中に守られてばかりであり、いつだって男としての立場が危ういことになっているのも事実だ。
警戒心が強く猫のような彼女が、無防備に眠る姿を見られるのは特権であることをどれだけの奴が知っているだろうかと悦に浸っていると、心葉がノートパソコンの画面をこちらへと見せてくる。
情報戦において優れた腕を持つ心葉は、敵に回すと厄介極まりないとその画面を覗き込む。
