泥甘な恋に溺れて

「桜良、今度こそ僕にファーストダンスくれますか?」

「....はい、もちろんです、私なんかでよければ」



そっと奏くんの手を取る。


ベランダを出てホールの中央まで進んで行く。



やっぱり奏くんに恋人はいなかった。


あのモヤモヤが嘘のように消えてった。



もう私には奏くんしか見えない。


踊っている間視線は私たちに集中した。


奏くんと踊っている間は他の人や言葉は全く入ってこなかった。


まるで私と奏くんの二人だけの世界のようだった。




「ありがとう桜良」


ダンスが終わって手の甲にキスを落とされる。



これは踊ってもらった光栄としてするものだってわかっていても奏くんの唇が触れた手....



洗いたくないほど嬉しかった。