泥甘な恋に溺れて





「俺、急いでるって言ったよな?いい加減離せよ....っ」






邪魔が入ったせいで話しかけるタイミングをなくした。






教室に入ったら桜良は一人席に座って本を読んでいた。








その光景が中学の頃の桜良を思い出した。






クラスが違っていたから気づかなかった。




桜良はクラスのどんな奴とでもすぐに仲良くなったが気づけば一人孤立するようになっていた。






それから高校では友達を作っている姿を見たことがない。









桐崎が唯一の女友達なんだよな....






だから女が嫌いな俺でも桐崎にはほかの女子と比べてそこまでぞんざいには接しないようにしていた。





それに名前で呼ばれることを嫌うけれど気にしないようにしていた。






今まで余計に絡んでくることもなかったけど、最近はやたらと絡んでくる。




正直めんどくさい。






だけど、桜良の友達だと思うと思いっきり冷たくは突き放せなかった。