泥甘な恋に溺れて



約束した駅前の噴水前。




辺りを見渡すと奏くんの姿はまだなかった。




そうだよね、まだ15分前だもんね!



私は静かに奏くんが来るのを待った。



奏くんがどんな格好をしてくるのかなとか会ったらまずなんて言うのかなとか....


考えてるだけで待っている時も幸せだった。




早く会いたいな....奏くん....。







だけど奏君が来ることは無かった──



10分15分と時間が過ぎる。




どうしたのかな奏くん....何かあったのかな....



だんだんと不安になる。





遅れてるなら連絡くれるはずなのにそれすらもない。



.....もう少しだけ待ってみよう。





約束してから30分がすぎた頃だった。




奏くんから着信がきた。



「──もしもし、奏くん!どうしたんで──」



「ごめん桜良、急な用事が入っていけそうにないんだ....」



来れ、ない....



その言葉を聞いてさっきまで待っているのですら幸せだったのに急に心細くなった。





「桜良、ほんとにごめん、なんてお詫びしたらいいか....」