一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない

エレベーターで最上階へ上がると
今度は神崎さんに秘書課を案内された。


秘書課は立花総司を室長に
四人の女性秘書で成り立っていた。


「皆には立花から話しは通ってると思うが
今日から出社してもらう画家の杉崎かよ子さんだ。
よろしく頼むよ。」



皆の視線が私に集中することで
私の頬は再び赤く染め上がる。

「杉崎かよ子です...
よ、よろしくお願いします....」

ぎこちない挨拶で頭をさげる私に
真っ先に駆け寄ってきたのが総司さんだった。

「かよ子さん!
何か分からないことがあれば
なんでも聞いてくださいね!
私がいつでも駆けつけますよ!」

総司さんはそう言って私の手を取ると
ぎゅっとにぎってくる。

私は「は、はい...ありがとうございます...」
と、困ったように微笑んだ。

「お前は俺の秘書だろうが!」

そして神崎さんはすぐさま横から総司さんの腕を掴んでわたしから引き剥がした。


「かよ子さんは新人の松原くんに担当してもらうよ」


「はい!
松原瑠花と申します!
よろしくお願いします!」


ゆるふわボブパーマの可愛らしい小柄な女の子が元気よく自己紹介をして私に向かって頭を下げた。


「よろしくお願いします...」


私も頭を下げ返す。


「それじゃあ、かよ子さん。
俺は仕事に戻るから
後は松原くんに案内してもらってね」


「は、はい。ありがとうございます...」


神崎さんは頑張って!と言いながら
総司さんの首根っこを掴むと引きずるようにして、秘書課を出ていった。