神崎さん、油断してるとすぐキスするんだもん...

それでなくても緊張でドキドキしてるのに...

私は会社の自動扉を抜けて
会社のロビーへ入っていく
神崎さんの後を真っ赤な顔でついて行く。

そして神崎さんは受付へと足を進めた。


か私は火照った頬を冷ますように
自分の手のひらで包んでいると
「社長おはようございます」
受付嬢が一斉に頭を下げて挨拶をした。


「おはよう。
君たちに一応紹介しておきたい。
杉崎かよ子さんだ。
彼女は画家をしていてホテルに飾る絵を描いてもらうために、今日から半年ほど会社に出社する予定だ。」


「す、杉崎かよ子と申します...
よ、よろしくお願いします...」


わたしはいきなりの紹介され
慌てて受付嬢達に頭を下げた。


「よろしくお願い致します」


受付嬢も戸惑いながらも
綺麗なおじきを返す。


「それじゃ、かよ子さん行こうか。」


そう言って神崎さんはエレベーターホールに
向かって歩き出した。


私はもう一度
受付嬢達にペコリと頭を下げると
急いで神崎さんの後を追いかけた。



「あの娘、何者かしら......?」

「社長の女とかですかね...?」

「この前、婚約者が来てたから違うでしょ...」


受付嬢がそんな噂をしていることなど
露とも知れず、二人の乗ったエレベーターで最上階へと上がって行った。